コロナ後遺症の味覚障害に鍼灸は効果あり?症状・原因・治療法を解説
新型コロナウイルス感染症の後遺症として、味覚障害に悩まされている方は少なくありません。食事の楽しみが失われるだけでなく、栄養バランスの偏りや健康への不安も引き起こします。この記事では、コロナ後遺症の味覚障害の症状や原因、西洋医学的・東洋医学的な治療法、そして注目されている鍼灸治療の効果について詳しく解説します。特に鍼灸治療は、自律神経の調整や血流改善、免疫力向上といった作用を通じて、味覚障害の改善に効果が期待できるとされています。この記事を読むことで、コロナ後遺症の味覚障害のメカニズムを理解し、鍼灸治療を含む様々な治療法やセルフケアの方法を知ることができます。適切な治療法を選択し、一日も早く味覚を取り戻すための一助となれば幸いです。
1. コロナ後遺症の味覚障害とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症として、咳や倦怠感、呼吸困難など様々な症状が報告されていますが、その中でも味覚や嗅覚の異常は特徴的な症状の一つです。これらの感覚障害は、感染初期に発症することもありますが、回復後も長く続く場合があり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。味覚障害は、食事の楽しみを奪うだけでなく、栄養バランスの偏りや食欲不振につながる可能性も懸念されます。また、嗅覚障害と併発することで、ガス漏れや火災の危険に気付くのが遅れるなど、安全面のリスクも高まります。そのため、コロナ後遺症による味覚障害は、適切な認識と早期の対応が重要です。
1.1 味覚障害の種類と症状
味覚障害には大きく分けて以下の3つの種類があります。
種類 | 症状 |
---|---|
味覚減退(Hypogeusia) | 味が薄く感じる、以前より味が分かりにくくなる |
味覚消失(Ageusia) | 全く味が感じられない |
異味症(Dysgeusia) | 本来の味とは異なる味を感じる(例:金属味、苦味など) |
コロナ後遺症の味覚障害では、味覚減退や異味症が多く報告されています。例えば、甘味が感じにくくなったり、何も食べていないのに口の中に金属味や苦味を感じたりするといった症状が現れます。これらの症状は、特定の味にのみ現れる場合や、すべての味に現れる場合など、個人差があります。また、症状の程度も様々で、軽度の場合は日常生活に大きな影響がないこともありますが、重度の場合は食事が困難になることもあります。
1.2 コロナ後遺症の味覚障害の特徴
コロナ後遺症の味覚障害は、他の原因による味覚障害と比べて、いくつかの特徴があります。
- 嗅覚障害を伴うことが多い:コロナウイルスは嗅覚神経にも影響を与えるため、味覚障害と嗅覚障害が同時に発症するケースが多く見られます。嗅覚が正常に機能しないと、風味を感じることができなくなるため、味覚にも影響が出ます。
- 比較的若い世代に多い:他の原因による味覚障害は加齢とともに増加する傾向がありますが、コロナ後遺症の味覚障害は比較的若い世代にも多く見られます。
- 自然回復する可能性が高い:多くの場合、数週間から数ヶ月で自然に回復しますが、1年以上続く場合もあるため、注意が必要です。回復までの期間や程度には個人差があります。
- 亜鉛欠乏との関連性:コロナ感染によって亜鉛欠乏の状態になり、味覚障害が引き起こされる、あるいは悪化する可能性が示唆されています。
これらの特徴を理解することで、コロナ後遺症による味覚障害の早期発見・早期治療につながります。少しでも異変を感じたら、医療機関に相談することが大切です。
2. コロナ後遺症の味覚障害の原因
新型コロナウイルス感染症の後遺症として発症する味覚障害は、そのメカニズムがまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が考えられています。主な原因として、ウイルスによる神経への直接的な影響、炎症反応による味覚受容体の損傷、亜鉛欠乏などが挙げられます。
2.1 ウイルスによる神経への影響
新型コロナウイルスは、嗅覚神経や味覚神経を含む神経系に直接影響を与える可能性があります。ウイルスが神経細胞に侵入し、炎症や細胞死を引き起こすことで、味覚の伝導が阻害され、味覚障害が生じると考えられています。 また、ウイルスが神経細胞を攻撃することで、神経の再生が阻害され、味覚障害が長期化する可能性も指摘されています。
2.2 炎症反応による味覚受容体の損傷
新型コロナウイルス感染によって引き起こされる炎症反応も、味覚障害の原因の一つと考えられています。炎症によって産生されるサイトカインなどの炎症性物質が、舌にある味蕾(みらい)という味覚受容体を損傷し、味覚の感知能力を低下させる可能性があります。 特に、持続的な炎症は味覚受容体の再生を阻害し、味覚障害の長期化につながる可能性があります。
2.3 亜鉛欠乏の可能性
亜鉛は味覚の正常な機能に不可欠なミネラルです。新型コロナウイルス感染症では、食欲不振や消化吸収機能の低下などにより、亜鉛の摂取量が不足したり、体内の亜鉛利用効率が低下したりする可能性があります。 この亜鉛欠乏が味覚障害の発症や悪化に寄与していると考えられています。亜鉛欠乏は免疫機能の低下にもつながるため、感染症の重症化リスクを高める可能性も懸念されています。
その他にも、日本耳鼻咽喉科学会によると、薬剤性の味覚障害や、心理的な要因、他の疾患との関連なども考慮する必要があります。また、コロナ後遺症の味覚障害は、異臭症(においの変化)を伴う場合も多く、これらの症状は複雑に絡み合っていると考えられています。以下の表に、考えられる原因とメカニズム、関連する症状をまとめました。
原因 | メカニズム | 関連する症状 |
---|---|---|
ウイルスによる神経への影響 | ウイルスが神経細胞に侵入し、炎症や細胞死を引き起こす | 嗅覚障害、味覚の低下/消失、異臭症 |
炎症反応による味覚受容体の損傷 | 炎症性物質が味蕾を損傷する | 味覚の異常(甘味を感じない、苦味しか感じないなど)、口の痛み、炎症 |
亜鉛欠乏 | 味覚機能に必要な亜鉛が不足する | 味覚の低下/消失、食欲不振、免疫力低下 |
薬剤性 | 特定の薬剤の副作用 | 味覚の異常、口内炎、消化器症状 |
心理的要因 | ストレス、不安、うつ病など | 味覚の低下/消失、食欲不振、不眠 |
味覚障害の原因を特定するためには、医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。 自己判断でサプリメントなどを摂取するのではなく、医師の指導のもと、適切な治療を受けるようにしましょう。
3. コロナ後遺症の味覚障害の治療法
コロナ後遺症による味覚障害は、自然治癒することもありますが、症状が長引く場合は適切な治療が必要です。治療法は大きく分けて西洋医学的治療と東洋医学的治療があり、症状や原因に合わせて適切な方法を選択することが重要です。ここではそれぞれの治療法について詳しく解説します。
3.1 西洋医学的な治療法
西洋医学的な治療法では、主に薬物療法と栄養療法が用いられます。根本的な治療法は確立されていませんが、症状の改善を目的とした対症療法が中心となります。
3.1.1 薬物療法
味覚障害の原因が炎症や神経障害であると考えられる場合、ステロイド薬やビタミンB12などの薬物が処方されることがあります。ステロイド薬は炎症を抑える効果があり、神経の修復を促進するビタミンB12と併用することで、味覚の回復を促すことが期待されます。また、漢方薬との併用も検討されることがあります。ただし、薬物療法は副作用のリスクもあるため、医師の指示に従って適切に服用することが重要です。
3.1.2 亜鉛サプリメント
亜鉛は味覚の維持に重要な役割を果たすミネラルです。コロナ後遺症による味覚障害には亜鉛欠乏が関与している可能性も指摘されており、亜鉛サプリメントの摂取が有効な場合もあります。ただし、過剰摂取は副作用を引き起こす可能性があるため、医師や薬剤師に相談の上、適切な量を摂取するようにしましょう。市販のサプリメントでは、エビオス錠、ハイチオールCホワイティアなどが亜鉛を配合しています。食事から亜鉛を摂取する場合は、牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類などに多く含まれています。
3.2 東洋医学的な治療法
東洋医学では、味覚障害は「気」「血」「水」のバランスの乱れや、経絡の停滞などが原因と考えられています。鍼灸治療や漢方薬を用いて、これらのバランスを整えることで、味覚の回復を目指します。
3.2.1 鍼灸治療
鍼灸治療は、ツボに鍼を刺したり灸をすえることで、自律神経の調整や血行促進、免疫力の向上などを促し、身体の機能回復を図る治療法です。味覚障害に対しては、耳の周辺や顔面部、手足のツボなどが用いられます。これらのツボを刺激することで、味覚に関わる神経機能の回復や、炎症の抑制が期待されます。治療頻度や期間は症状の程度や体質によって異なりますが、週に1~2回程度、数週間から数ヶ月継続して治療を受けることが多いです。
3.2.2 漢方薬
漢方薬は、生薬を組み合わせて作られた薬で、体質や症状に合わせて処方されます。味覚障害に対しては、気虚や血虚、水滞などの症状に合わせて、補中益気湯、十全大補湯、六君子湯などが用いられることがあります。これらの漢方薬は、免疫機能の調整や消化機能の改善、体力の回復などを促し、味覚の回復をサポートします。ただし、漢方薬も副作用のリスクがあるため、医師や漢方医の指導のもとで服用することが重要です。西洋医学的な治療と並行して行うことで、相乗効果が期待できる場合もあります。
治療法 | 内容 | 期待される効果 | 注意点 |
---|---|---|---|
薬物療法 | ステロイド薬、ビタミンB12など | 炎症抑制、神経修復促進 | 医師の指示に従う、副作用に注意 |
亜鉛サプリメント | 亜鉛の補給 | 味覚機能の維持・改善 | 過剰摂取に注意、医師・薬剤師に相談 |
鍼灸治療 | ツボへの鍼刺激、灸 | 自律神経調整、血行促進、免疫力向上 | 資格のある施術者を選ぶ |
漢方薬 | 体質・症状に合わせた漢方薬の服用 | 免疫機能調整、消化機能改善、体力回復 | 医師・漢方医の指導のもとで服用 |
上記以外にも、生活習慣の改善や食事療法なども味覚障害の回復に役立ちます。バランスの取れた食事を摂り、十分な睡眠と休息を確保し、ストレスを軽減するよう心がけましょう。また、禁煙も味覚の回復に効果的です。これらの治療法やセルフケアを組み合わせて、多角的にアプローチすることで、より効果的に味覚障害の改善が期待できます。
4. 鍼灸がコロナ後遺症の味覚障害に効果的な理由
新型コロナウイルス感染症の後遺症として、味覚障害に悩まされている方は少なくありません。西洋医学的な治療法 alongside 東洋医学的な治療法である鍼灸は、味覚障害の改善に効果的であると考えられています。その理由を詳しく解説していきます。
4.1 自律神経の調整作用
コロナ後遺症による味覚障害は、自律神経の乱れに関連していると考えられています。過度なストレスや不安、疲労などは自律神経のバランスを崩し、味覚に影響を与える可能性があります。鍼灸治療は、自律神経の調整に効果があるとされています。ツボへの刺激は、副交感神経の働きを高め、リラックス状態を促進します。自律神経のバランスが整うことで、味覚機能の回復が期待できます。
4.2 血流改善効果
味覚を感じる器官である舌には、味蕾と呼ばれる味覚受容体が存在します。味蕾は、血液によって運ばれる栄養や酸素を受け取って正常に機能します。鍼灸治療は、血流改善効果も期待できます。ツボへの刺激は、血管を拡張させ、血行を促進します。舌への血流が改善されることで、味蕾の機能が回復し、味覚が正常化すると考えられます。
4.3 免疫力向上効果
新型コロナウイルス感染症そのものが、免疫システムに影響を与え、味覚障害を引き起こす可能性も指摘されています。鍼灸治療は、免疫力の向上にも効果があるとされています。ツボへの刺激は、免疫細胞の活性化を促し、体の防御機能を高めます。免疫力の向上が、ウイルス感染によるダメージからの回復をサポートし、味覚障害の改善につながると考えられます。
4.4 鍼灸治療と味覚障害に関する研究
鍼灸治療と味覚障害に関する研究はまだ少ないですが、いくつかの研究で効果が示唆されています。例えば、突発性難聴に伴う味覚障害に対する鍼灸治療の有効性を示した研究や、顔面神経麻痺に伴う味覚障害に対する鍼灸治療の効果を報告した研究などが存在します。これらの研究結果は、鍼灸治療が様々な原因による味覚障害に効果を持つ可能性を示唆しています。更なる研究が期待されます。
4.5 鍼灸治療におけるターゲットとなるツボ
味覚障害に対する鍼灸治療では、以下のようなツボが用いられることがあります。これらのツボは、自律神経の調整、血流改善、免疫力向上などに効果があるとされています。
ツボ | 効能 |
---|---|
翳風(えいふう) | 耳鳴り、難聴、顔面神経麻痺、顎関節症などに効果があるとされ、味覚障害にも用いられます。 |
完骨(かんこつ) | 頭痛、肩こり、自律神経失調症などに効果があるとされ、味覚障害にも用いられます。 |
百会(ひゃくえ) | 自律神経失調症、不眠症、頭痛などに効果があるとされ、全身の調整作用があるとされています。 |
合谷(ごうこく) | 免疫力向上、鎮痛作用などがあるとされ、様々な症状に用いられる代表的なツボです。 |
足三里(あしさんり) | 胃腸の働きを調整し、免疫力向上、疲労回復などに効果があるとされています。 |
これらのツボ以外にも、個々の症状に合わせて様々なツボが選択されます。経験豊富な鍼灸師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。
5. 鍼灸院の選び方
コロナ後遺症の味覚障害に鍼灸治療を試みる際に、鍼灸院選びは重要なポイントです。適切な鍼灸院を選ぶことで、より効果的な治療を受け、症状の改善を目指せます。以下のポイントを参考に、信頼できる鍼灸院を見つけましょう。
5.1 コロナ後遺症の治療実績
コロナ後遺症は新しい疾患であるため、治療経験が豊富な鍼灸院を選ぶことが重要です。ホームページや問い合わせなどで、コロナ後遺症の治療実績を確認しましょう。症例数や治療期間、改善率などの情報があれば、より参考になります。また、味覚障害に特化した治療実績があれば、さらに安心です。
5.2 国家資格の保有
鍼灸師は国家資格が必要です。厚生労働大臣免許の鍼灸師が施術を行う鍼灸院を選びましょう。無資格者による施術は、健康被害のリスクがあります。ホームページや院内に資格証が掲示されているか確認しましょう。また、医師の同意書が必要かどうかなども確認しておきましょう。
5.3 清潔で安心できる環境
清潔で衛生的な環境は、感染症予防の観点からも重要です。院内の清潔さ、使い捨て鍼の使用、スタッフの衛生管理などを確認しましょう。また、リラックスして治療を受けられるような、落ち着いた雰囲気の院内環境も大切です。
5.4 治療方針の説明
治療方針や治療期間、費用について明確な説明がある鍼灸院を選びましょう。納得した上で治療を開始するために、初回のカウンセリングでしっかりと説明を受け、疑問点があれば質問することが大切です。セカンドオピニオンも検討し、複数の鍼灸院の意見を聞くことも有効です。
5.5 口コミや評判
インターネット上の口コミや評判も参考になります。Googleマップや口コミサイトなどで、他の患者さんの体験談を確認しましょう。ただし、口コミはあくまでも個人の感想であるため、参考程度にとどめ、最終的には自身の判断で鍼灸院を選びましょう。
5.6 アクセス
通いやすい立地にある鍼灸院を選ぶことも重要です。治療は継続して通う必要があるため、自宅や職場から近い、アクセスしやすい場所にあると便利です。駐車場の有無も確認しておきましょう。
5.7 費用
鍼灸治療の費用は、健康保険の適用外となる場合がほとんどです。そのため、治療費の目安を確認し、自身の予算と照らし合わせて検討しましょう。初診料、施術料、再診料など、費用の内訳についても確認しておくと安心です。
項目 | 確認事項 |
---|---|
実績 | コロナ後遺症、味覚障害の治療実績 |
資格 | 厚生労働大臣免許の鍼灸師 |
衛生管理 | 院内環境、使い捨て鍼、スタッフの衛生管理 |
説明 | 治療方針、治療期間、費用の明確な説明 |
口コミ | インターネット上の口コミや評判 |
アクセス | 通いやすい立地、駐車場の有無 |
費用 | 治療費の目安、費用の内訳 |
これらのポイントを参考に、信頼できる鍼灸院を選び、コロナ後遺症の味覚障害の改善を目指しましょう。焦らず、じっくりと治療に取り組むことが大切です。
6. 味覚障害のセルフケア
コロナ後遺症による味覚障害は、医療機関での治療と並行して、ご自身で行えるセルフケアも回復を促す上で重要です。日々の生活習慣を見直し、焦らずじっくりと味覚を取り戻していきましょう。
6.1 バランスの取れた食事
特定の栄養素が不足すると味覚障害が悪化する場合があります。バランスの良い食事を心がけ、様々な食材から栄養を摂取しましょう。特に、味覚の機能維持に関わる亜鉛は積極的に摂りたい栄養素です。牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類などに多く含まれています。また、ビタミンB12やビタミンAも味覚に影響を与えるとされています。豚肉、卵、うなぎ、緑黄色野菜などをバランス良く取り入れましょう。過度な糖質制限や偏った食事は栄養不足を招き、回復を遅らせる可能性がありますので注意が必要です。
6.2 規則正しい生活
心身の健康は味覚にも影響を与えます。十分な睡眠を確保し、ストレスを溜め込まないようにしましょう。良質な睡眠は体の修復機能を高め、ストレスは自律神経のバランスを崩し、味覚障害の回復を妨げる可能性があります。規則正しい生活リズムを維持し、心身ともにリラックスできる時間を作ることを心がけてください。例えば、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするのも効果的です。適度な運動もストレス軽減や血行促進に繋がり、味覚回復をサポートします。ウォーキングやヨガなど、無理なく続けられる運動を見つけましょう。
6.3 適切な水分補給
体内の水分が不足すると、唾液の分泌量が減り、味覚を感じにくくなることがあります。1日1.5~2リットル程度の水分をこまめに摂取するようにしましょう。水やお茶だけでなく、味噌汁やスープなども水分補給に役立ちます。ただし、糖分の多いジュースや清涼飲料水の過剰摂取は控えましょう。カフェインの摂り過ぎも利尿作用により脱水を招く可能性があるので注意が必要です。
6.4 禁煙
喫煙は味覚を鈍らせる大きな要因の一つです。タバコに含まれる有害物質は、舌の味蕾を傷つけ、味覚の感度を低下させます。コロナ後遺症からの回復を目指すのであれば、禁煙は必須と言えるでしょう。禁煙は味覚障害の改善だけでなく、呼吸器機能の回復や全身の健康増進にも繋がります。
6.5 刺激物の摂取を控える
香辛料などの刺激物は、味覚を刺激しすぎるため、回復途中の味蕾には負担がかかる場合があります。唐辛子やわさび、カレー粉など、刺激の強い香辛料は控えめにし、薄味を心がけましょう。刺激が少ないだし汁や昆布、かつお節などを活用して、素材本来の味を楽しむようにすると良いでしょう。
6.6 口腔ケアを徹底する
口の中の清潔を保つことは、味覚障害の改善に役立ちます。毎食後、寝る前には丁寧に歯磨きをし、舌苔も優しく取り除きましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯垢や食べかすをしっかり除去することも大切です。口臭予防にもなりますので、清潔な口腔環境を維持しましょう。舌ブラシを使用する際は、舌を傷つけないように優しく行うことが重要です。
セルフケア項目 | 具体的な方法 | 期待できる効果 |
---|---|---|
バランスの取れた食事 | 亜鉛、ビタミンB12、ビタミンAなどを含む食品を摂取する | 味覚機能の維持・改善 |
規則正しい生活 | 十分な睡眠、ストレス軽減、適度な運動 | 自律神経の調整、体の修復機能向上 |
適切な水分補給 | 1日1.5~2リットルの水分をこまめに摂取 | 唾液分泌量の維持、味覚感度の向上 |
禁煙 | タバコを吸わない | 味蕾の損傷防止、味覚感度の回復 |
刺激物の摂取を控える | 香辛料など刺激の強い食品を避ける | 味蕾への負担軽減 |
口腔ケアを徹底する | 毎食後、寝る前に歯磨き、舌苔除去 | 味覚感度の向上、口臭予防 |
これらのセルフケアは、味覚障害の改善をサポートするだけでなく、健康維持にも繋がります。焦らず、継続的に取り組むことが大切です。症状が改善しない場合や悪化した場合は、医療機関に相談しましょう。
7. 鍼灸治療に関するよくある質問
鍼灸治療を受けるにあたって、不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
7.1 鍼灸治療は痛いですか?
鍼治療で使用される鍼は、髪の毛ほどの非常に細いものです。注射針とは異なり、先端が丸みを帯びているため、痛みはほとんど感じません。人によっては、チクッとした感覚や、鍼を刺入した際にズーンとした響きを感じる場合がありますが、我慢できないほどの痛みではありません。 痛みには個人差がありますので、不安な方は施術前に鍼灸師に相談してみましょう。
7.2 治療期間はどのくらいですか?
治療期間は、症状の程度や個人差によって異なります。 軽度の味覚障害であれば、数回の治療で改善が見られる場合もありますが、重症の場合や慢性化している場合は、より長い期間の治療が必要となることもあります。一般的には、週に1~2回のペースで治療を行い、数週間から数ヶ月かけて症状の改善を目指します。鍼灸師と相談しながら、ご自身の症状に合わせた治療計画を立てましょう。
7.3 費用はどのくらいかかりますか?
鍼灸治療の費用は、鍼灸院によって異なります。初診料は2,000円~5,000円程度、治療費は4,000円~8,000円程度が相場です。 保険適用となる場合もありますが、適用範囲は限られています。事前に鍼灸院に確認することをおすすめします。また、一部の自治体では、コロナ後遺症の治療に対して助成金制度を設けている場合がありますので、お住まいの自治体の窓口に問い合わせてみましょう。
7.4 鍼灸治療を受ける際の注意点
安全に鍼灸治療を受けるために、以下の点に注意しましょう。
注意点 | 詳細 |
---|---|
食事 | 空腹時や満腹時は避けて、食後1時間以上経過してから治療を受けましょう。 |
服装 | ゆったりとした服装で、鍼を刺しやすい部位を露出できる服装が望ましいです。 |
飲酒 | 治療前後の飲酒は避けましょう。 |
入浴 | 治療当日の激しい運動や長時間の入浴は控えましょう。 |
妊娠中の方 | 妊娠中の方は、事前に鍼灸師に相談しましょう。 |
金属アレルギーの方 | 金属アレルギーの方は、使用されている鍼の素材を確認しましょう。 |
出血しやすい方 | 出血しやすい方は、事前に鍼灸師に相談しましょう。 |
感染症にかかっている方 | 感染症にかかっている方は、治療を控えましょう。 |
7.5 治療効果を高めるために
鍼灸治療の効果を高めるためには、以下の点にも気を配りましょう。
- 治療前後の生活習慣:バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、規則正しい生活を送りましょう。
- ストレス軽減:ストレスは自律神経のバランスを崩し、味覚障害の回復を遅らせる可能性があります。リラックスできる時間を作る、趣味を楽しむなど、ストレスを軽減する方法を見つけましょう。
- 水分補給:十分な水分補給は、体内の循環を良くし、老廃物の排出を促します。1日1.5~2リットル程度の水分をこまめに摂取しましょう。
- 禁煙:喫煙は血行を悪くし、味覚障害の回復を妨げる可能性があります。禁煙を心がけましょう。
- 鍼灸師とのコミュニケーション:症状の変化や不安なことを鍼灸師に伝えることで、より適切な治療を受けることができます。積極的にコミュニケーションを取りましょう。
これらの情報が、鍼灸治療を受ける際の参考になれば幸いです。
8. まとめ
新型コロナウイルス感染症の後遺症として、味覚障害に悩まされている方は少なくありません。この記事では、コロナ後遺症の味覚障害の症状や原因、西洋医学的・東洋医学的な治療法について解説しました。特に鍼灸治療は、自律神経の調整、血流改善、免疫力向上といった効果を通して、味覚障害の改善に寄与する可能性が示唆されています。西洋医学的な治療法で効果が得られない場合や、根本的な体質改善を図りたい場合、鍼灸治療は選択肢の一つとなり得ます。
鍼灸院を選ぶ際には、コロナ後遺症の治療実績、国家資格の有無、院内の清潔さなどを確認しましょう。セルフケアとして、バランスの取れた食事、規則正しい生活、適切な水分補給、禁煙なども心掛けてください。味覚障害は自然治癒することもありますが、症状が長引く場合は、医療機関や鍼灸院に相談し、適切な治療を受けることが大切です。焦らず、じっくりと治療に取り組むことで、味覚を取り戻せる可能性が高まります。